ラッキンコーヒー(瑞幸咖啡)をご存知だろうか?ラッキンコーヒーは中国の人気カフェショップだ。スターバックスコーヒーをベンチマークしており、高品質な豆を使用して、スターバックスよりも安価にコーヒー飲料を提供している。例えばスターバックスラテは28元(423円)だが、ラッキンコーヒーのラテは24元(362円)だ。さらに常にキャンペーンをやっていることで有名であり、2杯買うと1杯タダ、3杯買うと2杯タダといったキャンペーンを打っている。現地の人に聞くと、3杯買うと2杯タダのキャンペーンを利用して、1杯8元(120円)くらいで飲んでいるとの話だった。2019年の中国全土の平均月収が10万円くらいなので、普通の中国人、特に若者にとってはスタバは高い。でもスタバでカッコよく決めたい。ラッキンコーヒーはそんな市場に登場した。
写真はラッキンコーヒーのバナー。
「新しい店の特別割引」
「2つ買うと1つタダ」
「5つ買うと5つタダ」
と書いてある。
そして、ラッキンコーヒーは2018年に北京に1号店を出したのを皮切りに、その後急拡大を続け、2020年1月時点で4,507店舗に達した。またラッキンコーヒーは米ナスダック市場にも上場しており、2019年に米国でIPOを行って5億6100万ドルを調達した。本社は中国本土ではなくケイマン諸島にある。
SNS上では「ラッキンコーヒーはアメリカの投資家に対してきれいなストーリーを見せた」ということが話題になっている。ラッキンコーヒーがアメリカの投資家に対して「中国ではお茶文化はあるがコーヒー文化が浸透していない。適切なマーケティング施策を行うことでコーヒー文化を浸透させる。」とプレゼンして資金調達したことを話題にしているのだ。
だからラッキンコーヒーは中国国民からの支持も高い。「アメリカから資金調達して、中国に安価な飲み物を提供した」として評価しているのである。また、購入方法も注文してから決済までが全てアプリ内完結であり、テイクアウトに加えて宅配も選べるので人気がある。
しかし、2020年4月2日に、ラッキンコーヒーが「2019年第2四半期から第4四半期にかけて、22億元(約339億円)の売上を水増ししており、経費も粉飾していた」と発表した後、ラッキンコーヒーの株価は80%下落するなど混迷期に突入した。中国政府は4月3日付で「消費者の利益を守るために厳しく対応する」とのコメントを出している。
そして2020年5月12日にCEOの銭治亜(ちえんじゅうや)氏とCOOの劉剣(りゅうじえん)氏の解任が発表された。この他、社内で事件に関わった6名が停職もしくは出勤停止処分になっており、引続き調査中である。元CEOの銭治亜氏は中国長者番付に乗っている富豪であり、総資産は120億元(1813億円)ある。
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